急性鼻副鼻腔炎
急性鼻副鼻腔炎とは急性に発症し、発症から4週間以内の感染症で、鼻閉・鼻漏・後鼻漏・咳嗽といった呼吸器症状を呈し、頭痛・頬部痛・顔面圧迫感などを伴う病気です。原因としてはまず感冒罹患後にウイルス感染(ライノウイルス、インフルエンザウイルス、パラインフルエンザウイルス、アデノウイルスなど)による鼻副鼻腔の炎症を起こし、その後細菌感染が続発するのです。細菌の種類としては幼小児では肺炎球菌、インフルエンザ菌、モラクセラ・カタラーリスの3つが圧倒的に多く、年齢が上がるにつれてその他の黄色ブドウ球菌、β-溶連菌などの検出が増えてきます。
治療は抗菌薬投与が主役でその他に鎮痛薬、ステロイド薬、粘液溶解薬(ムコダインR、ムコソルバンR、ムコサールR)などを用います。抗菌薬の第一選択薬はペニシリン系のAmoxicillin(サワシリンR、ワイドシリンR)ですが、それ以外にも感受性を調べながら耐性菌に注意しつつセフェム系抗菌薬(メイアクトR、フロモックスRなど)やマクロライド系抗菌薬(ジスロマックSRR)また成人ではレスピラトリーキノロン(クラビットR、アベロックスRなど)を用います。この他に自然孔(副鼻腔の鼻への通路)開大処置を行った後のネブライザー治療も有効であり、また稀に上顎洞の穿刺・洗浄を行うこともあります。
合併症としては眼窩内合併症(眼窩蜂窩織炎、眼窩骨膜下膿瘍)、頭蓋内合併症(硬膜下膿瘍、髄膜炎、脳膿瘍など)が起こることがあり注意が必要です。
急性副鼻腔炎の方は症状が治まると通院を自己中断してしまいがちですが、きちんと治ったことを確認してから終了しないと遷延化、慢性化につながりますので気をつけて下さい。