みみ・はな・のど 病気解説

ダニアレルゲンの舌下免疫療法

アレルギー性鼻炎の有病率は年々増加しつつあるのが現状で、薬物治療の安全性、有用性の上での進歩は見られますが、近年喘息発症の危険因子との指摘もあり、より根本的な治療が求められていました。以前から行われてきた皮下注射による皮下免疫療法も舌下免疫療法もアレルギー疾患の自然経過を改善し、長期寛解と治癒が期待できる唯一の治療法です。また2015年末に相次いでダニアレルギーのアレルゲン免疫療法薬であるシオノギ製薬の「アシテア ダニ舌下薬R」および鳥居薬品の「ミティキュア ダニ舌下錠R」が発売され使用が可能となりました。

製剤投与について

両製剤とも2種の室内塵ダニ(ヤケヒョウヒダニとコナヒョウヒダニ)由来のアレルゲン抽出物を含有する速溶性の舌下錠ですが、用法・用量と錠剤の溶けやすさが少し違います。両者とも治療対象は「ダニ抗原によるアレルギー性鼻炎」であり、12歳以上となっています。なお、病因アレルゲンがダニでは無い患者さん、本剤の投与によりショックを起こしたことのある患者さん、重症の気管支喘息の患者さんは禁忌です。

錠剤を1日1回1錠、舌の下に置いて前者は2分、後者は1分間、口内に保持した後、飲み込みます。内服後、5分間はうがいや飲食を控えてもらいます。


メリットとデメリット

この錠剤が使用できることになり、従来の皮下注射による免疫療法の場合の通院や皮下注射の疼痛が無いメリットがある一方、以下のデメリットも考えられます。

1) アナフィラキシー等が発現するリスク
アレルゲンを投与することから、稀に重篤なアレルギー症状が生じる可能性がありますが、治験を含む過去のデータではありません。

2) 長期間治療
WHOは3~5年間続けることを推奨しています。

3) 全ての患者さんに効果があるわけではない
国内外の臨床治験のデータでは約10~20%は効果が期待できないようです。また、国内臨床試験では使用例の60%強に副作用が見られましたが、主なものは咽喉刺激感、口腔浮腫、口腔掻痒感、耳掻痒感など軽微なもので重篤なものはありませんでした。


投与開始後の1ヶ月は副作用が出やすいため、慎重に濃度を増量していきます。また初回投与時には院内で内服して30分程度、様子を見させていただきます。

当院は舌下免疫療法の登録施設ですので、ご希望があれば直ちに治療を開始することができます。

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